銀河鉄道999ラジオドラマ・第3話
放送日:97/10/31

第3話,「透明の女・ガラスのクレア」

(ナレーション )
地上を走る列車がトンネルをくぐり抜けるように
宇宙列車も時折,トンネルを抜けることがある.
999の列車の音...
(ナレーション )
昔から宇宙旅行者は,そのトンネルを心のトンネルと呼んでいる.
999の汽笛...

(車掌)え〜,次の停車駅はタイタン,タイタンに停まります.え〜,到着時刻は...
(鉄郎)な〜んか,変わった感じの車掌さんだね.
(メーテル)ふふ,失礼よ,鉄郎.
(車掌)そのとおり!初対面の人の印象を述べるときは,十分気を付けた方がいいですぞ.それが宇宙で生き残っていくコツです.ハイ.
(鉄郎)ご,ごめんなさい.
(車掌)ハハハ.まあ,いいでしょ.あ,自己紹介が遅れました.私は栄えある銀河鉄道の車掌であります.以後,お見知りお気を.
(車掌)あ,どうです.お近づきの印に,面白いものを御覧にいれますが.
(鉄郎)なんだい?
(車掌)この999号の心とでも云いますでしょうか.
(鉄郎)はあぁ???

機関車内部で
(車掌)どうです.これが999号の心臓部,まさに心!このすばらしい科学力!
(鉄郎)機械だらけだ.しかも,機関士がいないなんて.
(メーテル)この機関車は,自分でものを考え,タイムスケジュール通りに,客車を引っ張っていくの.
(車掌)いや,あ,よ,よくご存じで.
(メーテル)ああ,ごめんなさい.余計な口を挟んでしまったわねぇ.
(車掌)いえいえ,お美しい方に挟んでいただけるなら,おいくらでも大歓迎でして.ハイ.*^ ^*
(鉄郎)ちょ,ちょっと,僕の時と態度が違うんじゃないの --#
(車掌)いや,あ,これは失礼しました.^_^; では,私は仕事がありますので.あ,間もなく,小惑星帯のトンネルをくぐりますのでくれぐれもご用心を.あ.では.
(鉄郎)トンネル?宇宙で?ご用心って?
(メーテル)鉄郎,トンネルに入る前に食事を済ませましょ.

食堂車で
(メーテル)どうしたの?
(鉄郎)ん,僕と母さんはこんなきれいなところで食事なんかしたことなかったから.だから,ちょっと落ち付かないだけ.
(メーテル)あなたはお客さんなんだから胸を張りなさい.鉄郎.
(鉄郎)(--)(_ _)うん,そうだね.
(クレア)ご注文はお決まりですか?
(鉄郎)ふうぁ〜,ガラスの体のウエイトレスさんだ.
(クレア)ふふふ.私の体はクリスタルガラスです.
(メーテル)お名前は?
(クレア)クレアです.母が見栄っ張りで,私の体をこんなガラスに変えてしまったんです.だから私はここでお金を貯めて,どこかの星で血の通った体を買うつもりなんです.
(鉄郎)何故?そんなにきれいなのに.
(クレア)ありがとう,でも,私の体はガラス.光も影も,私の体を通り抜けてしまいます.それがとても寂しいんです.
(鉄郎)そういうものかなぁ.
(クレア)ウフフ.ご注文は?

999の汽笛...

(メーテル)美味しかったわね.
(鉄郎)うん,あんなにおいしいもの初めて食べた.
(メーテル)フフ,じゃ,行きましょうか.

突然,停電に.
(鉄郎)うわ,停電だ.
(メーテル)小惑星帯のトンネルに入ったんだわ,鉄郎.急いで私たちの車輌に戻りましょう.
(鉄郎)これじゃ,どこをどう歩いていいか,判らないよ.
(クレア)私がご案内します.
(鉄郎)でも真っ暗だよ.
(クレア)私の体内エネルギーの振動を強くして,電灯の代わりになってあげます.
光り輝くクレア
(鉄郎)ホタルみたいだぁ〜.
(クレア)そうですか.でもこうしていると,少〜しだけど体が温まるんです.
(メーテル)私はお手洗い.あなたは先に行って.
(クレア)鉄郎さん,私の手をしっかり握っていて下さいね.
歩いていく2人
(鉄郎)うわ〜,消えちゃった,クレアさん,どこにいるの?
(暗闇:鉄郎の母の声真似で)鉄郎,鉄郎.
(鉄郎)お母さん,お母さんなの?
(鉄郎)どうして,機械伯爵に剥製にされたはずなのに
(暗闇)鉄郎,会いたかった.
(鉄郎)お母さん,生きてたんだね.よかった(泣)よかった〜.
首を絞められる鉄郎
(鉄郎)お母さん,苦しいよ.
(暗闇)(低い声で)ふはっはっはっは.
(鉄郎)お,おまえは,お母さんじゃない.ああ〜
(暗闇)な,何を言っているんだい.私はおまえのお母さんだよ.さあ,その心を,魂を,生命を,あの世に旅立つ私におくれ.さあ,はやく.
(鉄郎)く〜,やめ〜て〜く〜れ〜
(クレア)何をしているの.鉄郎さんの体を放しなさい.
(暗闇)なんだ,お前は
(クレア)鉄郎さん
(暗闇)じゃまするな.
(クレア)999の乗務員は,たとえ,ウエイトレスでも,生命をかけてお客様の身の安全を守るの.
(クレア)さようなら,鉄郎さん.
(暗闇)うわぁ〜,あ〜.
ガシャーン(クレアが砕け散った音)
(鉄郎)クレア,クレア〜
気を失う鉄郎
列車の音
(メーテル)鉄郎,鉄郎
(車掌)鉄郎さん,しっかりして下さい.だからあれ程,トンネルにはご用心と...
(メーテル)あ〜,私がうっかり目を放したスキに
意識を取り戻す鉄郎
(メーテル)ハァ〜,気が付いたのね.
(メーテル)トンネルを抜けたわ.もう大丈夫よ.
(鉄郎)メーテル,今のは一体.
(メーテル)幻覚よ.この小惑星帯を通過するとき,時々起こる現象なの.
(鉄郎)じゃ,クレアは無事なんだね.
(車掌)残念です.いいウエイトレスだったのに.
(鉄郎)嘘だ.だって,幻覚なんだろ!
(メーテル)人の心だけがトンネルに入るとき,そこで起きた幻覚は,本当に人を殺すことがあるの.
(鉄郎)そんな,バカな.
(メーテル)鉄郎,よく覚えておいて.これが宇宙の恐ろしさなの.
(メーテル)いつ,どこで,なにが起こるか.地球の常識なんて当てはまらない未知の世界.それが,宇宙.
(鉄郎)宇宙...
(車掌)クレアさんのお葬式をしましょう.ガラスの破片を宇宙にまかせていただきます.
漂うガラスの破片
(鉄郎)見てメーテル,クレアさんのガラスの破片が1コだけ残っている.これは泪の形をしている.こんな悲しそうな泪,見たこと無いよ.
(メーテル)そうね,もしかしたら,それはクレアさんの心かも知れないわね.

(TV版エンディング曲が流れるとともに)
(ナレーション )
心でしか見えないトンネルは時に旅人の心に牙を向く.
「しかし,」っと鉄郎は想う.
それでもなお,傷ついている心を抱き続けている限り,
旅人は前に進んで行くしかないのだと...

999の汽笛

(ナビゲーター)
私たちの身近に見ることのできる光と影の一瞬に日食があります.
月が太陽を覆い隠してしまう一瞬.
お日さまを食べると書いて日食.

(ファウストの感想:メーテルってトイレするんだ.車掌とメーテルは初対面なのか?)

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