銀河鉄道999ラジオドラマ・第4話
放送日:97/11/07

第4話,「タイタンの眠れる戦士」

999の列車の音...
(ナレーション )
土星は太陽系の中で木星に次いで2番目に巨大な惑星だ.
その衛星・タイタンもまた,
太陽系の中の衛星・惑星を巡る月の中で2番目の大きさである.

999の汽笛...

(車掌)まもなく,タイタンに停車いたします.停車時間は16日.
(鉄郎)16日?そんなに停まっているの?
(メーテル)そう,999の停車時間はどの駅もその星の1日.タイタンの自転周期は地球の16日分に相当するから,それまでの間列車も停車しているのよ.
(鉄郎)ふ〜ん.でも,そんなに長くて,退屈しないのかなぁ.
(メーテル)退屈はしないわ.少なくとも...ほら,見えてきた,あれがタイタンよ.
(鉄郎)ふぁ,きれいな星だな.地球と同じだ.いや,それ以上かも.
(メーテル)ここは昔,赤褐色の雲に被われた荒涼とした星だったそうよ.それを最初にここに来た開拓移民の人たちがこんなエメラルドグリーンの美しい星に変えていったの.
(鉄郎)へぇ〜,ここなら16日間楽しくやれそうだね.
(メーテル)そうね,何事も起こらなければね...

タイタンにつく
(鉄郎)なんだか変な星だね.みんなジロジロこっちを見てるよ.
(メーテル)あまり目を合わせない方がいいわ,行きましょ.
足音
(鉄郎)メーテル,やっぱり変だ.誰かが付けてくる.1,2,全部で3人.
(メーテル)振り向いてはダメ.
(SE)バーン
(メーテル)あ〜あ
(鉄郎)メーテル,メーテル.しっかりして
(戦士1)けっ,またよそもんがウロウロと...
(戦士2)だが,こいつはなかなかの上物じゃねぇか.
(鉄郎)メーテルに何をするんだ.
(戦士1)うるせぇ!
(SE)バキ!
(鉄郎)う,バタ↓

(SE)暖炉の火の音
(鉄郎)ああ,ここは?
(老婆)花のホテル,私のホテルさ.
(鉄郎)メーテルは?
(老婆)メーテル?ああ,あんたのお連れさん.お姉さんかね.さらわれちゃったよ.
(鉄郎)誰に?
(老婆)ブドウ谷の戦士にさ.
(鉄郎)戦士?
(老婆)よ〜く,お聞き,坊や.
(鉄郎)僕は..
(老婆)ふふふ.坊やじゃない.一人前の男だと言うの?私から見ればみんな坊やさ.いいかい.このタイタンでは何をしてもいいのさ.
(鉄郎)だからって,人をさらっていいなんてあるものか.
(老婆)それがここではあるのさ.この星の法律.楽園法でそう決められているのさ.坊やが私を殺したければ殺せばいいし.私が坊やを殺したければ,もちろん,それも構わない.その代わり,個人の自由を妨げると罪になるのさ.それがこのタイタンの掟.
(鉄郎)じゃあ,メーテルは?
(老婆)さあねぇ〜.売られたか?バラバラにされたか?
(鉄郎)冗談じゃない.ブドウ谷って何処にあるんだい.助けにいかなきゃ.
(老婆)どうやら止めても,聞くって顔じゃないねぇ.まあ,好きにおし.
ドアをあける鉄郎
(老婆)待ちなさい.坊や.
(鉄郎)なんだい?
(老婆)この帽子をかぶってお行き.土星の光りは強いよ.土星射病になるといけない.
(鉄郎)はぁ(緊張がとけて)ありがとう.
(老婆)それから,これ.
(鉄郎)銃なら持っているよ.
(老婆)ふふふ.(バカにした笑い)あんたのはこれに比べりゃおもちゃさ.持って行きなさい.これは戦士の銃.
(鉄郎)戦士の銃?
(老婆)ああ,きっとあんたを守ってくれるよ.生きて帰ってきたら,坊やと呼ばすに名前を読んであげるよ.
(鉄郎)星野鉄郎だ.覚えといてくれ.

草むらをあるく鉄郎
(鉄郎)何でも自由だなんて.いくら陽気がいい星だからって,とんでもない星を人間は作ったもんだ.メーテル大丈夫かな.
(銃声)バキューン
(鉄郎)ん?
(戦士1)おい,いたか?
(戦士2)ちきしょう,あの女,何処に逃げやがった.
(鉄郎)あの声は...
(銃声)ビシューン,ビシューン
(戦士2)うあぁ.(バタ↓)
(鉄郎)あ.メーテル.よかった無事だったんだね.
(メーテル)気を付けて,まだ居るわ.
(戦士1)女,随分なめた真似をしてくれたな.
(鉄郎)メーテル.伏せて.(銃を構える)
(メーテル)鉄郎!
メーテル銃を見て
(メーテル)あ,それは.
(戦士1)あ,お,そいつは,戦士の銃.小僧,何故,貴様がそれを...
(鉄郎)子ども扱いするな.何をそんなに驚いてんだ.僕を射てるもんなら射ってみろ.
(戦士1)くそ〜,死ね.
(銃声)バキューン
(鉄郎)うわぁ〜
(戦士1)うぎゃぁ〜(バタ↓)
(メーテル)鉄郎,大丈夫?
(鉄郎)あいたたたた.凄い反動だ.なんて銃だ.はぁ,僕は大丈夫さ.メーテルこそ無事だった.
(メーテル)はぁ(ほっとして),鉄郎.あなた.私を助けに来てくれたの?ありがとう.私,うれしいわ.

老婆の家にて
(鉄郎)この銃のおかげで助かったよ.それにしても凄い銃だね.
(老婆)気に入ったんなら,持ってお行き.鉄郎,その帽子と一緒に.
(鉄郎)え,でも.
(老婆)そいつわねぇ.息子の形見なんだよ.
(鉄郎)形見!じゃ,益々,もらえないよ.
(老婆)いいんだよ.あんたが持っててくれれば,あんたが冠(かぶ)ってくれれば,息子も喜ぶだろうさ.
(鉄郎)おばさん.
(老婆)それは,息子と一緒に宇宙の果てまでさまよい歩き,何度も何度も死線を越えて,危険をくぐり抜けて,帰ってきたものさ.でもねぇ,どんな強い男でも負けることはある.息子はこのタイタンに帰ってきて,そして,ここで負けた.涙一つ流さず.私の腕の中で息を引き取ったのさ.
(老婆)最後に,息子は笑ってこう言ったっけ,「母さん,運命だよ」.
(老婆)鉄郎,いつか時が来たら,地球のお母さんの所へお帰り,お母さんの所に帰って,笑って死ねる男にお成り.
(メーテル)頂いておきましょう.
(鉄郎)うん.おばさん,さようなら.

999に戻った2人
(車掌)おや,お早いお戻りで.発車まで,まだ15日も時間が残ってますよ.
(メーテル)列車の中で本でも読んでるそうよ.ね,鉄郎.
(車掌)本ねぇ...
(鉄郎)ここの楽園で遊びほうけて,この星の人間のように成りたくないんだ.
(車掌)はぁ?あぁ,まぁ,車掌の私がとやかくいうようなことではありませんが,暇ですよ〜.
(鉄郎)いいんだ.(うれしそうに)

(ナレーション )
タイタン,土星の月.
昔,心のきれいな勇気に満ちあふれた人々が
この星を切り開き,楽園を作り上げ,
その楽園に今,心の荒れ果てた人々が住んでいる.
唯一の救いがあるとすれば,それは,
死に際に,母に笑顔を見せることが出来た本当の戦士が眠っているということだ.


999の汽笛

(ナビゲーター)
土星は惑星の中でも暗くて動きが鈍い星なんだそうです.暗くて鈍い.
でも土星には立派な輪っかが附いている.これも何かのバランスなんでしょうか.

(ファウストの感想:個人の自由を妨げると罪?ということはその自由で殺された人の自由は?//老婆の息子とは誰でしょう.みなさん知ってますよね.)

・このHPは、個人の趣味の範囲で作成しております。
「銀河鉄道999」製作会社及び関連会社とは、関係ありません。
・松本零士氏を始めとする「銀河鉄道999」製作関係者の著作権等を侵害するつもりはありません。