銀河鉄道999ラジオドラマ・第5話
放送日:97/11/14
第5話,「大盗賊・アンタレス」
999の列車の音...
(ナレーション )
銀河鉄道の軌道は宇宙空間に半永久的に施設され,
肉眼でみることはできないのだ.
列車がそれを外れて走ることはない.
無論、今までに脱線したという記録もない
銀河鉄道を行く列車は同じ空間レールの上を走っていき、
いつかまた帰ってくるのだ.
999の汽笛...
(鉄郎)なんだ.メーテル,列車が止まっちゃったよ.
(メーテル)え,様子が変だわ.
ピューン(銃声)
(鉄郎)うわぁ〜!
足音
(鉄郎)撃たれてる!ど,どうしたんだ.しっかり.
(メーテル)一等車のお客さんだわ.
(乗客)あ,たすけてくえ〜
(アンタレス)心配するなぁ〜.急所ははずしてある.動くとそいつみたいになるぜ
(鉄郎)なんだ,お前は?なんでこんなひどいことをするんだ〜
(メーテル)列車・・・強盗?
(鉄郎)なんだって?
(アンタレス)そういうわけさ.ふっふっふふっ.鉄壁シールドを誇る銀河鉄道と言えど,所詮は人間の作った代物だ。なら人間に破れないはずがない.油断は禁物だよ,お嬢さん.有り金と貴重品を出してもらいてぇ.
(メーテル)私のはいいわ,でも鉄郎のはやめて.鉄郎は・・・
(アンタレス)やかましいぞ!強盗するのに分け隔てはしねえ.ん?小僧、いい銃を持ってるな.出せ
(鉄郎)いやだ.
(アンタレス)拒めばこの女の額にきれいな穴があく!それだけのことだ.
(鉄郎)く〜,く〜
(アンタレス)お,お〜.こいつは戦士の銃じゃないか.いて!くそ〜、この銃はエネルギー開放弁のスプリングが強すぎる.指をはさんでじまったじゃねぇか
(鉄郎)血が出てるよ・・・生身の体・・・
(アンタレス)だったらどうしたい!機械の体の人間じゃなかったらどうだっていうんでぃ!
(鉄郎)僕くも...
(車掌)そのまま手を上げろ,動くな!
(アンタレス)バーカな.お前と俺とどっちが引き金を早く引けるか,競争するつもりか.
(車掌)うるさい,早く銃をおろせ!
(アンタレス)お客が死ぬとお前ら乗員に責任がかかる.確か,死刑だったなぁ?
(車掌)あ,は,はい.たしかに
(アンタレス)それでもまだ,早撃ち競争する度胸があるのか.どうなんだい!
(車掌)え・・・う・・・わかりました
(アンタレス)早く機械室に案内しろ!女と小僧、お前たちも来い。証人になってもらう
(メーテル)証人?
機関車の中
(アンタレス)な〜るほど.銀河鉄道の超特急ともなれば,見かけは古くても内部は大したものだなぁ.
(車掌)触るな!
(アンタレス)今は〜,俺がこの列車の支配者だ.どうしようと俺の勝手だ.従って,俺が命令する.
(アンタレス)銀河特急999号を引く機関車C62.この列車の支配者 大盗賊・アンタレスが命ずる.軌道を変えろ!G11の7.7修正誤差0.0001,速度そのままだ!
(機関車)軌道の変更は出来ません.銀河鉄道規則第27条.
(アンタレス)盗賊に規則は無用だ.命令に従わなければここにいる乗員と乗客を射殺する.
(機関車)おおせに従います.
動き出す999
(鉄郎)999号が軌道を変えた.
(メーテル)証人とはこのことだったのね.
(アンタレス)ふふふ,そうだ.たった今,俺が,大盗賊・アンタレスさまが誇り高い銀河鉄道の超特急999号の軌道を変えさせたのだ.まさに偉大な瞬間だ。そしてこいつは俺の命令で俺の家の前で停止するのさ.ふっはっはっはっは〜
999の汽笛の音
(アンタレス)生身の人間?小僧,お前機械化人間じゃないのか?
(鉄郎)そうだ.お金が無いから体は買えない.だから,タダでくれる星に行くんだ.
(アンタレス)バーカな.わざわざ機械の体を手に入れる連中の気がしれんよ.女,お前もそうなのか?
(メーテル)あたしは・・・
(アンタレス)その衝立ての前に立て!体内が透視できる。人間かどうか俺が見てやる。機械化人間ならその場でバラバラにしてやるぜ.さあ.
(メーテル)いいわ(少しためらって)
(鉄郎)メーテル!
(車掌)メーテルさん
(メーテル)いいの.
コツコツ(足音)
(鉄郎)(心の声)そうだ.僕はメーテルが機械化人間か,人間か考えてもみなかった.
レントゲン台に乗るメーテル
(メーテル)これで.どう.
(アンタレス)えっはっは.恥をかかせて悪かったなぁ.確かに人間だ.お詫びに俺の骨格も見せてやろう.
レントゲン台に乗るアンタレス
(鉄郎)うわ.これは?
(アンタレス)あっちの星.こっちの星.戦場やら,強盗の現場で体にめり込んだエネルギー弾さ.どれもこれも不発弾ばかりだ.いつかこいつらが爆発して,俺は何にも残さず消し飛ぶんだ。それもまたいいじゃないか。はっはっはっはっはっはっはっはっ。
(メーテル)機械化人間を恨んでいるように感じるのだけれど・・・違いますか?
(アンタレス)そうさなあ。俺はなあ、自分のうちで沢山のガキの面倒を見てる.無論俺の子供じゃねぇ.どいつもこいつも機械化人間に親を殺されたガキばかりだ.これだけ言えばわかってくれるか?
(鉄郎)機械化人間に・・・親を殺された・・・?
(アンタレス)別に義賊ぶるつもりはねぇが,あの子らには何の罪もねぇ.悪いのは強いて言えばこんな時代だ。小僧、どうした?
(鉄郎)いや、なんでもないよ。
(アンタレス)人間はなあ、いつの頃か一線を超えてしまったのさ.決して超えちゃあならねぇ最後の一線をな.あとは機械という名の地獄に向かってまっしぐらさ.
(鉄郎)機械という名の地獄・・・.
(アンタレス)小僧,名前は?
(鉄郎)鉄郎,星野鉄郎だ.
(アンタレス)いい名だ〜.いいか鉄郎,宇宙では射たれる前に射て.相手が涙を流していても必要な時は,心を鬼にして容赦なく射て!宇宙で生き残るにはそれが絶対の条件だぞ!
(鉄郎)射たれる前に射つ.
(アンタレス)そうだ.
(アンタレス)その銃を貸してみろ.家に着くまでにスプリングを調節しといてやろう.最もそれを自由に使いこなせるようになった頃は,お前は機械の体なんか欲しくなっているかもしれんがな.
(鉄郎)どういう意味だ.
(アンタレス)自分で考えろ.それもまた宇宙で生き残る条件だ。さあ,銃を貸せ.
999の列車の音.汽笛の音
(車掌)やれやれ,ひどい目に会いましたなぁ.おや,鉄郎さんお休みですか?
(メーテル)地球を出てから,いろいろなことがあったから疲れたんでしょう.車掌さん.
(車掌)はい?
(メーテル)アンタレスは悪い人じゃ無かったみたいねぇ.家に着いたら直ぐに開放してくれたし.
(車掌)つまりが,変人ですな.全く人騒がせな.
(メーテル)あの人,昔はこの鉄郎みたいだった気がするの.勇敢で心優しく.夢と希望に胸を膨らませて宇宙に乗り出していった・・・でも,あ〜いう人は長く生き残れないかもね.
(車掌)そうですな.お,いけない.時間だ.私はこれで.次の停車駅は冥王星.停車時間は6.39日.
(メーテル)鉄郎,あなたが機械の体をもらったら,機械の体になったら眠る必要もなくなるわ.眠る楽しみも,夢を見る楽しみもなくなる.そして,そのまま,永久に生きられる.
999の汽笛
(ナレーション )
宇宙をひとり彷うのは,死ぬために旅するようなものだ.
無限にきらめく大宇宙の星々は
死んでいった孤独な勇者達の涙の凍りついたものだと
古代の宇宙飛行家は書き残している.
もし,そうだとしたら,涙の数のなんと多いことだと鉄郎は思う.
そして銀河鉄道は果てしなく,その涙の中を通り過ぎていく.
999の汽笛
(ナビゲーター)
登場人物の名前にもあったアンタレス.実在する星の名前でもあります.
火星とその赤さを競う星なんだそうです.
蠍座の星.アンタレス.はさそりの心臓です.
(ファウストの感想:ほんとにアンタレスはどんな人なんだろう?)
・このHPは、個人の趣味の範囲で作成しております。
「銀河鉄道999」製作会社及び関連会社とは、関係ありません。
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