銀河鉄道999ラジオドラマ・第6話
放送日:97/11/21
第6話,「迷いの星のシャドウ」
999の列車の音とともに
(ナレーション )
冥王星は太陽系の果ての星.
宇宙を旅する人の多くはここまで来て考えたという.
ここから先へ行って,無事に生きて帰れるのだろうかと.
だから,今では,この星のことをこう呼ぶのが当たり前になっている.
「迷いの星」と
999の汽笛...
ドアを開けて歩いてくる車掌
(車掌)え〜,まもなく冥王星.冥王星で御座います.停車時間は6.39日.
(鉄郎)う,う〜,さむ〜い.
(メーテル)ふっ,そうね,でも冥王星に降りたら,こんな寒さじゃすまないわ.
(鉄郎)い〜くら,冥王星が寒いところだって,近づいただけでこの列車の中が寒いなんておかしいよ.
(車掌)いや〜,ここに近づくとみなさん,そう,おっしゃい,ハッ〜クション.うぉ〜,さぶ〜.お風邪を召しませんように,では.
足音
(車掌)ヘックション
足音
ドアを閉める音
(メーテル)ある人はあの星で凍り付いている旅人の魂がこうさせているんだって言っているけど,原因は良く判っていないの.
(メーテル)ふふ,そんなに寒いの?
(鉄郎)あ,あ〜あ.,は,は,歯の根もあ,合わない.
(メーテル)こっちへいらっしゃい.コートの中に入れてあげる.
(鉄郎)は,はずかしいけど,こ,こ,この寒さ,もう我慢できない.
(鉄郎)ふぁ〜,あったか〜い.
泣き出す鉄郎
(メーテル)鉄郎,泣いているのね
(鉄郎)お母さんは,よく雪の中で,こうやって暖めてくれたんだ.こうしていると,まるでお母さんと居るみたいだ.メーテルがなんだか僕のお母さんに似てる〜!
(メーテル)そう,あなたのお母さんにね.
冥王星の駅で
(鉄郎)うわぁ〜,なんて所だ.駅まで氷で出来てるよ
(メーテル)ここで,6日と半日なんて,鉄郎はとても持ちそうにないわね.行きましょう
足音(SE)
町の中
(鉄郎)こ〜りゃ,寒いはずだ.何もかも凍り付いている.でも,あの人達は平気な顔をして歩いているよ.
(メーテル)機械の体を持った人は体内ヒーターがあるから耐えられるの.もっとも,ここではヒーターも故障するんだけど.鉄郎,私はちょっと寄りたいところがあるの.この辺りで待っていてくれる?
(鉄郎)いいけど,どこへ行くの?
(メーテル)町外れまで,ちょっと,直ぐに帰ってくるから.
(鉄郎)うん,いいよ.なるべくはやく帰ってきてね.早くしないと,僕まで氷になってしまいそうだよ〜(笑)
(メーテル)わかったわ
ヒィ〜ン,キン,キン,キン (氷のかけらが氷の上を転げる音)
(鉄郎)うはぁ〜,ちょっと町を抜けたら,一面,氷の世界だ.よ〜し,もう一度.
ヒィ〜ン,キン,キン,キン (氷のかけらが氷の上を転げる音)
(鉄郎)つるつるのピカピカだ〜.氷のかけらが何処までも滑っていく.
(シャドウ)ここで,そんなもの投げないで.
(鉄郎)あ,ご,ごめんなさい.
(シャドウ)ここは,神聖な場所よ.子どもの遊び場じゃないわ.あなた,名前は?
(鉄郎)星野鉄郎だ.そういう君こそ名前は?
(シャドウ)私の名前はシャドウ.ここの管理人よ.こんなとこで何をしてるの?
(鉄郎)メーテルっていう女の人を探して居るんだ.町で待ってたんだけど,なかなか,帰ってこないから,自分で探しに来た.管理人っいったい?
(シャドウ)ここは,墓場よ.氷の墓場.私はその管理人
(鉄郎)え!?
(シャドウ)足下を良く見てごらん.
(鉄郎)はぁ,人だ,人の体が,こんなにたくさん埋まっている.
(シャドウ)この星まで来て死んだ人の体よ.ここで,機械の体に変わって,もとの体を捨てていった人たちのぬけがらの眠るお墓よ.それが冥王星
(鉄郎)きみ,機械の体なのか?
(シャドウ)え,あそこにあるのが私の体.よく見せてあげるわ
(鉄郎)うわぁ,さ,触るな!なんて冷たい体なんだ.
(シャドウ)私が手を握ると,人間の体温が無くなるの.私にはとても気持ちがいいけれど.
(鉄郎)はなせ,からだが凍る.
(シャドウ)私はこの冥王星で機械の体を手に入れた.でも,ここから先へ行く気がしなくてねぇ.それで,墓場の管理人をしているの.さあ,ごらん これが昔の私よ
(鉄郎),きれいだ〜.
(シャドウ)そう,昔の私はきれいだった.機械の体では作れないくらい,そして,どんな顔にしても満足出来ずに,とうとう顔は作らなかった.
(鉄郎)だから,なんだっていううんだ.
(シャドウ)だから,だから,人は私をこう呼んでいるの.「迷いの星のシャドウ」.
(鉄郎)そんなこと聞いたんじゃない僕をどうするつもりなんだ,放せ,凍え死んじゃうよ.
(シャドウ)この氷の下に埋まっている体たちはね.みんなとってもさみしいの.1人でも多くの仲間が欲しいのよ.あなたも仲間入りさせて上げるわ.
(鉄郎)いやだ!僕は迷ってなんかいないんだ.機械の体をタダでくれる星まで,なんとしても行くんだ.その手を放せ,でないと,この銃で射つぞ
(シャドウ)おや.そんなかじかんだてでなにができるというの.さあ.さみしい体たちの仲間にお成り.
(鉄郎)やめろ〜
ヒュン,バチン(鞭がシャドウにあたる音)
(シャドウ)ひやぁ〜,うわぁ〜(バタ↓),この鞭は?
(鉄郎)メーテル
(メーテル)鉄郎,もう大丈夫よ.
(シャドウ)何をする.私はここの管理人よ.邪魔をしないで.
(メーテル)管理人なら何をしてもいいというものでは無いわ.
(シャドウ)どうして,私の体はこの星で死んだの(泣きながら)温かい元の体に戻りたい.
(鉄郎)シャドウ
(シャドウ)もう一度生き返って,地球へ帰りたい.生きた体にもどりたいのよ〜.
(鉄郎)なんだか,かわいそうだね.
(メーテル)ええ,あの人は永久にここで氷のお墓の番人をしていくのよ.いつか,機械の体に飽きた人たちがここへ戻ってきて,元の体に生き返るかも知れないから
(鉄郎)メーテル
(メーテル)な〜に
(鉄郎)それでも,やっぱり,僕は迷わないよ.やっぱり機械の体を手に入れるんだ.
(メーテル)そうね.(少し驚いた感じ).さあ,列車に戻りましょう.
(鉄郎)ところで,さあ,メーテル.こんな寂しい所に何の用があったの?
(メーテル)ううn,もういいの.何でもないわ,さあ凍えない内に.
(鉄郎)変なメーテル
さみしいBGMとともに
(メーテル)ふぁ〜(泣いている)
(ナレーション)その少し前,鉄郎が町の雑踏の中で震えていた頃,メーテルは氷の墓に独りいた.そして.
メーテルの泣き声が大きくなって
(ナレーション)氷の上に膝をつき,何故か大粒の涙を流していた.その涙が落ちた氷の下に何があったのかは,メーテルだけが知っている.彼女は鉄郎の質問に答えて,唯一,こう言ったという
(メーテル)鉄郎,冥王星で見たことはすべて忘れた方がいいわ.あの星は宇宙でいちばん悲しいところだから.
999の列車の音
(ナレーション )
迷いの星は宇宙でいちばん悲しいところ.
多くの人々が,ここに体を置いて遠くへ旅立った悲しい星.
いつの日か,自分の体が懐かしくなって人々が帰ってくるという星だから
999の汽笛
(ナビゲーター)
冥王星は太陽系の最も外側を公転している惑星です.
物語にあったようにこの星では何もかもが凍り付いています.
(ファウストの感想:今回の聞き取りは以外ときれいに聞けました.また,今回のドラマからBGMがつくようになりましたね.)
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