銀河鉄道999ラジオドラマ・第8話
放送日:97/12/05
第8話,「化石の戦士」
999の列車の音とともに
(ナレーション )
かつて人は信念の元に生き死んでいった.
自由な宇宙に進出するに連れこの信念という言葉は次第に廃れ,
これに殉ずる人もまた絶えたと言われる.
だが,人が生きている限り,信念は決して滅びることはない.
何故なら,過酷な宇宙で最後まで生き残るには強い信念が絶対に必要だからだ.
ギー...(999のブレーキの音)
ドッカン!
(鉄郎)あいたたた...な,なんだ.一体?!
(メーテル)鉄郎,大丈夫?
(鉄郎)座席から放り出されちゃったよ.ひぃ〜,いててて.
ガラ〜ン(ドアの開く音)
(車掌)申し訳有りません.先頭車輌が脱線してしまいまして.
(鉄郎)脱線だってぇ〜?
(車掌)そうなんです.列車妨害でして,何者かが駅の手前の線路に障害物を置いた様子で.
(鉄郎)なんだってぇ〜
(鉄郎)ほんとだぁ〜,機関車が転覆している.
(メーテル)対物レーダーに反応しない岩なんて,一体誰がこんなことを
(鉄郎)メーテル,犯人を探しに行こう.こんな危ないことするやつ,放っておけないよ.
(メーテル)鉄郎?
(鉄郎)さあ,早く.
(メーテル)待って,鉄郎.
岩の中の歩く2人
(鉄郎)なんだ,ここは?岩の表面に人の顔が彫ってある.ふぁ〜見てメーテル,凄い数だ.あっちにもこっちにも,顔,顔,顔.あそこのやつは体まで彫ってある.
(メーテル)鉄郎,これは彫刻じゃない.自然に出来たものだわ.
(鉄郎)へぇ〜?そんな,ばかな〜,だって,この女の人なんかこんなにきれいに彫ってあるのに.
(メーテル)何だか様子がおかしいわね.
(鉄郎)メーテル,ここはなんて星だっけ?
(メーテル)化石の星よ.位置的には銀河系の縁にあたっていて,大宇宙に出るぎりぎりのところ.
(鉄郎)化石の星...はぁっ!メ,メーテル.こ,これ.足下見てよ.
(メーテル)え?はっ,あ!(絶句)
(鉄郎)骸骨がこんなにたくさん転がっているよ.しかも,全部,首を切断されている.
BGM(TVシリーズの化石の戦士のBGMを思い出して下さい)
(化石の星の戦士)若造,貴様も化石泥棒.
(鉄郎)何だって,お前は誰だ.
(化石の星の戦士)化石泥棒は容赦しない.そこの骸骨どものようにこの刀で首を跳ばしてやる.覚悟するがいい.たあっ〜
(鉄郎)うわぁ,く,来る.
(メーテル)鉄郎,逃げて.
(鉄郎)しまった,銃を忘れた.
(鉄郎)うわぁ.
(化石の星の戦士)この星の化石を盗もうとする奴は生かしておけん.とりゃぁ〜.(飛びかかる戦士)
(鉄郎)うわぁ,やめろ〜
グサ!(刀で鉄郎が切られる)
(鉄郎)うわぁ〜
999の医務室の中
(鉄郎)い,いたい.いたたた,いててて.
(メーテル)男でしょ.このぐらい我慢しなさい.
(車掌)幸い背中を擦っただけで,よかったですなぁ.はい,これで縫合できましたよ.もうすぐ銀河鉄道管理局からレスキュー隊が来ますんで.脱線した機関車も元に戻ります.ですが,鉄郎さん残念ですが,あなたにはこの列車を降りてもらわなければなりません.その男にパスを奪われたんでしょ?
(鉄郎)判ってる.これから取り返しにいってくるさ.あったったたた.
(車掌)銃は持ちましたか?
(鉄郎)持ったよ.(怒り口調で)
(メーテル)私も一緒に行きます.そこを退いて下さい.
(車掌)え,いや,しかし,メーテルさんは..
(メーテル)降ろしなさい.
(車掌)はぁ!,あ,はぁ〜.
荒野を歩く2人
(鉄郎)パスを奪われたのは僕の責任だ.ほっといてくれていいんだよ.メーテル.
(メーテル)私は鉄郎が一緒に行ってくれるから,列車に乗ったの.鉄郎が降りるのなら私も降りるわ.気にしないで.
(鉄郎)メーテル,はぁ!あれは..
(メーテル)えぇ,宇宙船の残骸のようね.たぶん,恒星間航海用の本格的な宇宙船.行ってみましょ.
宇宙船内にて
(鉄郎)内部はそんなに痛んでないんだあ.
(メーテル)動力はまだ生きてるわ.鉄郎,油断しないで.
(鉄郎)はぁっ,お前.
(化石の星の戦士)やはり,来たか.必ずここに来ると思っていた.
(鉄郎)何故,そんなことがわかる.
(化石の星の戦士)そのお前の目だ.お前の目には強い信念がある.だから,やって来ると思っていた.勝負するか.
(鉄郎)今度は銃がある.お前の刀じゃ,歯がたたないぞ.どうする.
(化石の星の戦士)それでも勝負は勝負だ.うわぁ.
飛び上がり刀を振り下ろす戦士
ビシューン(戦士の銃の銃声)
(化石の星の戦士)う.
(メーテル)パスを奪ったのにどうして列車に乗らなかったの?
(化石の星の戦士)お前達が化石泥棒じゃないと解ったからさ.善人のパスを奪うほど俺は落ちぶれてはいないつもりだ.それにそのパスで列車に乗ったところで,どのみち,もうすぐ俺は死ぬ.ひどい宇宙放射線病に侵されていてなぁ,長くないんだ.だから,どうせ死ぬ.怪我をさせたお前に打たれて死にたいと思ったのさ.
(鉄郎)なんで,この化石が,そんなに大切なんだ.岩の彫刻が...
(化石の星の戦士)俺が向かし,この星をこの船で旅だって宇宙に出たとき,この星は多勢の同朋であふれかえっていた.海も山も川もそりゃ,きれいな自然を持った星だった.俺が宇宙に出たのはこの星に近づく正体不明のガス雲の調査のためだった.それが,恐るべき,化石化ガス雲を判ったときはすでに手遅れだった.この美しい星はあっという間にガス雲に呑み込まれていた.帰ってきて見たものは化石になった人間の群れだったよ.
(鉄郎)化石化ガス.そんな夢みたいなことが.
(化石の星の戦士)夢みたいな科学では立証できないことは宇宙ではよくある.信じようと信じまいとこの星の人間は全部化石となって岩と同化して.ふっ.それ以来俺は化石の番人さ.他の星で売るために,化石化した体を盗掘にくる奴等から化石を守ってきた.いつの日か化石を元に戻す方法を見つけてくれる人間が来るかも知れないと思ってね.だが,俺の生命(いのち)も,もうこれまでだ.
(メーテル)もしかしたら,あの岩場の美しい女の人の化石は...
(化石の星の戦士)あぁ,あれは俺のフィアンセだ.
(鉄郎)そんな.
(化石の星の戦士)俺はこの星の科学アカデミーで最高の科学者だという自負があった.彼女もそう思ってくれた.けどなぁ,俺はこの星はおろかたった1人の自分の愛する人すら,救ってやることが出来なかった.人間の科学力なんて宇宙の脅威の前では全くの無力なんだよ.それでも俺は今でも信念を持っている.あの時,科学者として最善を尽くしたのだとそう信念を持って.若造,
(鉄郎)なんだい?
(化石の星の戦士)人生の最期にお前の目のような奴に会えて良かった.信念の宿った強い目を持つ男.ほら,パスは返すぞ.うっ.↓
(鉄郎)はぁっ,しっかりして,しっかり〜.
(メーテル)亡くなられたわ.鉄郎,フィアンセの化石のそばに葬って上げましょう.
999の列車の音
(ナレーション )
時間の静止した星が宇宙のところどころにある.
その止まった時間が再び動き出したとき,
宇宙の歴史がどう変わるのか,誰にも判らない.
動いている星も止まっている星も遠くから見ると,
みな同じように瞬いているからだ.
999の汽笛
いつもより長い時間の列車の音
(ナビゲーター)
さて,今夜は化石ほどの歴史にはおよびませんが,
冬の夜空に輝く昴(すばる)についてちょっと一言.
あの清少納言が枕草子の中でこんな一説を書いているんです.
星は昴 彦星 長庚(ゆふづつ) 夜這い星 少しおかし
(ファウストの感想:多勢の中で出すガスもみんなの動きを止めてしまう(笑).)
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