銀河鉄道999ラジオドラマ・第14話
放送日:98/01/30
第14話,「終着駅(前編)」
999の列車の音
(ナレーション )
永遠の命が手にはいるとしたらその瞬間あなたは何を思うか.
それは文字どおり永遠に答えのでない命題である.
鉄郎は今,まさにその命題の前に立ち,思い悩んでいる.
果たしてこれが自分の追い求めてきた夢の終着駅であっていいものだろうかと.
惑星大アンドロメダは目と鼻の先である.
999の汽笛
食堂車にて
(車掌)え〜,間もなく,終着駅・惑星大アンドロメダ.惑星大アンドロメダで御座います.え,みなさま,長い間のご乗車ほんとにありがとう御座いました.お別れの時が参りました.またのご利用を乗務員一同こころよりお待ち申し上げて御座います.
(鉄郎)車掌さん,長い間ありがとう.いろいろ世話になったね.
(車掌)あはは,いえ.
(鉄郎)この食堂車で食事をするのもこれが最期だ.
(車掌)鉄郎さん,あまり無茶なさらないでくださいよ.私はそれだけが心配で.
(鉄郎)大丈夫わかっているさあ.メーテル,どうしたの気分でも悪いの.
(メーテル)いいえ,なんでもないわ
(メノウ)星野鉄郎さんですね.
(鉄郎)そうですけど,何か?
(メノウ)私の名はメノウ.機械の体のカタログを持って参りました.こちらです.
(鉄郎)カタログ?
(メノウ)サンプルが50万体くらい載ってます.
(メーテル)その中から選ぶのよ.
(鉄郎)クレアやシャドウもこうやって機械の体を選んだんだなあ.
(メノウ)クレアを知っているのですか?
(鉄郎)うん,僕を助けようとして亡くなったんだ.それが何か?
(メノウ)クレアは私の娘です.
(鉄郎)なんだってぇ〜!
(メノウ)娘は死んだのですか?
(鉄郎)そうだ.--# あんたの見栄のせいで彼女は苦しんだんた.
(メノウ)そ,そうでしたか.ですが,これが私の仕事.私情に迷うことは許されません.鉄郎さん,早くどの体にするか選んで下さい.もし,あなたが決められないのでしたら,私が選びます.それが規則ですので.
(鉄郎)なんてこったぁ.
(メノウ)どれになさいますか.
(鉄郎)少し時間をくれ.1人になりたいんだ.
(メノウ)わかりました.お決めになるまで私はついていますので.
(メーテル)鉄郎
(車掌)鉄郎さん
(鉄郎)ごめん客車に戻って1人で決めたいんだ.ちょっと行って来る.
去っていく鉄郎,後をついていくメノウ.
(メーテル)迷っているようね.ほんとうに永遠の命が欲しいのかどうかと.
(車掌)メーテルさんも迷ってらっしゃる.あのう,鉄郎さんを...
(メーテル)言わないで,車掌さん
(車掌)はっ,申し訳ありませんです.
客車にて
(鉄郎)このカタログを見なきゃいけないのか.きっとすばらしい機械の体がたくさん載っているに違いない.だから,見ると絶対欲しくなる.永遠の命.すばらしい機械の体,限りある命.ぼくのこの体.永遠の命.機械の体.ふ〜.
(メノウ)時間がありません.到着までに決定を
(鉄郎)そうだ,ぼくのトランク.
(メノウ)どうかしましたか?
(鉄郎)あった〜,これを
(メノウ)へっ,これは何?
(鉄郎)心のトンネルの中で幻覚と戦って僕を守ってくれて,砕け散ったクレアさんの体のかけらです.
きらきら光っているガラスのかけら
(メノウ)これが〜.あ〜・・・
(鉄郎)そうだ.クレアさんはきっと元の体に戻ってあなたと,お母さんと一緒に暮らしたかったんだ.だから999号に乗ってウエイトレスになって必死になって働いて.でも,彼女の稼ぎじゃどうにもならなかったんだよ.
(メノウ)あの娘が私と,そんな.私はただあの娘に最高に美しい体を与えようと.そんな〜(T T)
(鉄郎)今さら,泣くな.クレアさんの気持ちが少しでもわかるっていうんなら.今さら泣いて謝ったって遅いんだ.(T T)
(メノウ)知らなかった.あの娘がどう思っていたなんて.知らなかった.
(鉄郎)こんなカタログがなんだ.機械の体なんてくそくらいだ.
カタログを床に投げつける
(メノウ)鉄郎さん.クレアのかけら,ずっと持っていてくれてありがとう御座います.でも,悲しいけれど,あの娘がウエイトレスであったのと同様にこれも私の仕事.お決まりにならないようですので,私の方で決めさせていただきます.では,終着駅でお会いしましょう.
食堂車に戻ってきた鉄郎
(メーテル)鉄郎,決められなかったようね.
(鉄郎)メーテル.僕,もう少し時間が欲しい.お願いだもう少し時間が欲しいんだよ.まだ,機械の体には,まだ...
(車掌)間もなく終着駅のシールドラインに入ります.お客さんどうぞ座席にお戻りになり.ショックに備えて頂きますようお願いいたします.
(鉄郎)ちょっと,トイレに行って来る.
999の列車の音
999の汽笛
トイレから客車に戻ってきて
(鉄郎)これが人間としての最期のトイレか.やれやれ,うん??
(謎の声)いつもの手はず通りだな.
(メーテル)はい.
(鉄郎)あの声はメガロポリスのホテルで聞いた,あのときと同じ声だ.
(メーテル)でも,今度は何故か,気が進みません.とてもつらい気持ちです.
(謎の声)メーテル,それは私にも良く判っている.いつものお前らしくもなく激しく心が揺れ動いているのか.だが,もうここまで来てしまったのだ.終わりは近い.鉄郎が今までの少年とは少し変わっているということも判っている.ずっと見ていたからなあ.
(メーテル)もう私は引き返せないところまで来てしまいました.これが終わったら死んでもいいですか?
(謎の声)弱音は吐いてはだめだメーテル.お前にはまだしなければならないことが残っている.
(メーテル)でも...
(謎の声)メーテル.お前は強い.お前を魔女となど呼ぶ奴等のことは気にするな.すべては使命のためなのだ.
(メーテル)あまりにもつらい使命です.
(謎の声)判っている.
(鉄郎)メーテル.
(メーテル)鉄郎.(ドキッとした感じで)
(鉄郎)何も聞こえなかったよ.とにかく,惑星大アンドロメダに行こう.僕はメーテルを信じているから.
(メーテル)ありがとう.ほんとにありがとう.鉄郎.
(車掌)見えました.あれが終着駅・惑星大アンドロメダで御座います.
999の列車の音
(ナレーション )
鉄郎が機械の体になりたくないのをメーテルは知っている.
自分で決めて旅に出たのだから,後悔するのなら終着駅へ行って,何がどうなのか.
見極めてからにしようと覚悟しているのをメーテルは知っている.
鉄郎が未来を決して悲観しない少年ということをメーテルはよく知っている.
そして,今,さまざまな人々のさまざまな人生を乗せた銀河超特急999号はその長い旅を終えようとしている.
次は惑星大アンドロメダ.アンドロメダ大星雲の中心.終着駅.
999の汽笛
(ナビゲーター)
アンドロメダ大星雲ですが,これは銀河系の外にあるのに
私たちが肉眼で見える唯一の天体なんだそうです.ちょっと以外ですね.
(ファウストの感想:さあ,いよいよ,終着駅に着く.あのカタログの中身を見たいものです.あんな短い時間で50万体のスペックを見るのは不可能だよね.(笑))
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