銀河鉄道999ラジオドラマ・第15話
放送日:98/02/06
第15話,「終着駅(中編)」
999の列車の音
999の汽笛
(鉄郎)すご〜い星全体に蜘蛛の巣みたいな光が走っている.あれが,惑星大アンドロメダ.
(メーテル)朝露が付いて光輝く蜘蛛の巣を私が子どもの頃,とても好きだったから星の表面がああなったの.
(鉄郎)へぇ?メーテルが好きだったから?
(メーテル)そうよ.そういうことをするのは子どもをとても愛している親.良くあることよ.
(鉄郎)え?
(メーテル)巨大な星,ふたつの心を持った惑星.それが惑星大アンドロメダ.
999が到着
(アナウンス)アンドロメダ.終着駅大アンドロメダ.上層へのお出口は第808エスカレータ通路へお進み下さい.
(鉄郎)着いた.着いたんだ.僕は今,たしかにアンドロメダのホームを踏んでいる.お母さん,僕はとうとう来たよ.メーテル.
(メーテル)えぇ,来たわね.ついに...
(鉄郎)うん.
(車掌)いや〜鉄郎さんとの旅は楽しかったし,私は鉄郎さんが機械の体になるとはまだ信じられない.
(鉄郎)僕も,まだピンと来ないよ.いろいろ考えたんだけど,生身の体がいいのか?機械の体がいいのかって?.死ぬのは嫌だし,永遠に生きたいと思うし,いやらしい機械人間たちをたくさん見たし,正直言って結論が出なかった.だけど,一つだけは判ったよ.「限りある命だから,人は一生という時間の中で精一杯頑張る.短い時間の中で何かをやり遂げようとする.だから,お互い思いやりや優しさが生まれるんだって.お父さんやお母さんの血が僕の体には流れている.僕の血だって,僕の未来の子どもに受け継がれて,そのまた子どもへとずっと続いていく.それも永遠の命だってね.」
(車掌)そうですなぁ.
(メノウ)お待ちしておりました.
(鉄郎)メノウさん.
(メノウ)鉄郎さん,あなたの機械の体が決定しました.このカタログのここです.
(鉄郎)え,え,え,えぇ?
(車掌)なんだこりゃ?
(メノウ)そう,ネジです.ネジの形をした機械の体になって貰います.
(鉄郎)冗談じゃない.
(メノウ)女王プロメシューム様の決定です.惑星を支える重要部分のネジに選ぶよう私に指示なさいました.もし,拒否なさるとメーテル様は責任を問われ,極刑に処せられます.者ども,銃を構えよ.
(鉄郎)メーテル,これは一体?
(メーテル)鉄郎,ごめんなさい.私,私は...
(鉄郎)メーテル.
(メノウ)規則には従っていただきます.
(鉄郎)いいよ.判ったよ.成ってやるよ.ネジの体に.どんな体を貰うかまでは約束してなかったしなぁ.メーテルは命がけで一緒に旅をしてくれたんだ.僕はそれだけで.
(メノウ)鉄郎さんをお連れしなさい.
連れられていく鉄郎
(鉄郎)メーテル.いろいろありがとう.さようなら.メーテル〜.
(メーテル)鉄郎.
(車掌)このままでいいんですか?
(護衛)メーテル様はあちらへ,部室にて休息をとっていただき,その後,プロメシューム様にお会いいただきます.
(車掌)メーテルさん.
別室にて
(メーテル)鉄郎はネジになると言った.限りある命だから,人は一生という時間の中で精一杯頑張ると言った.鉄郎が私を助けるためにネジになってもいいと言った.私は鉄郎の夢を砕いた女.鉄郎の希望も未来も消してしまった女.
(謎の声)メーテル.鉄郎はお前を理解したのだ.つらいだろうが,お前の勤めを果たせ.
(メーテル)私は鉄郎を犠牲にしてまで,願いを遂げたくはない.永遠の時の輪の上を歩き続けるより,私も,私も鉄郎と一緒にネジになりたい.寄り添う二本のネジに.
(謎の声)鉄郎は自分がなる一本のネジという機械の体がどれほど重要な意味を持っているか知っているぞ.
(メーテル)私は鉄郎をネジになんかしたくない.
(謎の声)くじけるな.メーテル.
閲見室にて
(メノウ)ここが,閲見室です,鉄郎さん.
(鉄郎)なんだ.
(メノウ)女王プロメシューム陛下を少し甘く見ているのではありませんか?
(鉄郎)なぜそう思う.
(メノウ)あなたはネジになることを承知してプロメシューム様に近づくチャンスを狙っているのではありませんか?あなたの戦士の銃では女王陛下には歯が立ちませんよ.機械帝国は宇宙の歴史上,最強の大帝国です.不滅という言葉は,プロメシューム陛下とその機械帝国にこそあるというもの.
(鉄郎)うるさい.そんな事どうでもいいんだ.やい,プロメシューム,とっとと,僕をネジにしたらどうなんだ.姿を現せ.
(プロメシューム)ここでは,下品な言葉は慎むがよい.愚かな生身の人間よ.
(鉄郎)あんたがプロメシュームか.
(プロメシューム)その通り.
(プロメシューム)私が機械化母星・惑星大アンドロメダの中心に存在して全てを司る女王プロメシューム.そして,メーテルの母.
(鉄郎)なんだって?
(プロメシューム)そう,あの娘は私の最愛の娘.少年よ,私の娘を助け,長い旅路を終えて,ともに無事にここへ来てくれたことに例を言う.お前は心優しい少年.たじろう事はあっても,悩むことがあっても,歯を食いしばって歩き出す.私はメーテルを通してそういうお前を見続けていた.お前がメーテルに寄せている想いも知っている.そして,機械伯爵に母を殺され全宇宙の機械化人に対して,復習することを誓っていることもむろん承知している.
(鉄郎)だったらなんだって言うんだ.
(プロメシューム)お前の負け,ということさ.少年よ機械の体になって永遠に生き,機械化世界を滅ぼそうという,お前のその心の中,それこそ,はかない夢.鏡の中の自分を殺せるか?お前は重要なネジとなって,機械化母星・大アンドロメダの私とめーてるの永遠の世界を支えて共に生きるがよい.
(鉄郎)(鏡の中の自分を殺す?一体どういう意味だ.)
(プロメシューム)少年よネジとなれ,るつぼを閉じるネジとなるがよい.
シュイーン〜(機械が動き始めた音)
(鉄郎)待て,僕はもう一度.もう一度..メーテルと...うわぁ〜...
メーテルの足音
(メノウ)メーテル様お待ちしておりました.
(メーテル)メノウさん.
(メノウ)全て終了いたしました.ここに鉄郎さんをお連れ...いえ,お持ちいたしました.これが鉄郎さんです.このネジが...
(ナレーション )
旅人は往々にして旅そのものが人生だと感じるようになるという.
だとすれば,旅の終着駅が,すなわち,その旅の人生の終点でもあるのだと.
だが,鉄郎という旅人の人生はまだ終わってない.
何故なら,彼にはメーテルという最愛の女性がいて,
しかも彼女もまた,鉄郎をかけがえのない宝物だと感じていたからだ.
終着駅に人生を運び続ける銀河超特急は時に,ひどく深い罪を作るものだと
ある車掌が言ったという.
(ナビゲーター)
さて,アンドロメダの中心には太陽の数百万倍から数千万倍の重さを持つ
果てしなく巨大なブラックホールがあるんだそうです.
もう言葉だけでは想像がつかないですね.
(ファウストの感想:ネジになってしまった鉄郎はいかに! でも今回のストーリーは原作と違って,メーテルの鉄郎への想いが「好き」という「愛」が表面化していますね.)
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